2020/06/15 21:33
当工房のちんすこうを見つけて頂き誠にありがとうございます。

正直なところ、商品を見ていただいたお客様は、高いちんすこうだなぁ、ぼったくりすぎだろと思われた方が多いと思います。
そう言われるのは、慣れっこなので大丈夫です。
カフェで販売してる時でも、ただ陳列しているだけでは全く売れません。値札見たら間違いなくドン引きです。
でも、ドリンクを注文されたお客様に、試食として添えて食べていただくと売れる商品に変わります。
ここ数年、特にコロナ禍において、ちんすこうは混ぜで焼くだけというイメージがついてしまったようにも思います。
そもそも、王国時代には王様や異国からの来賓しか食べることが許されなかったちんすこうが、混ぜて焼くだけだったでしょう?
当工房をその原点を見つめ直し、さらに、王国時代が今なお続いていたら、王国おかかえの菓子職人は現代技術でどんなちんすこうを作っただろうかという視点でちんすこうを作っています。
琉球料理の専門家で琉球菓子の権威である「安次富順子先生」の調査で王国時代のちんすこうは落雁の型で抜いた菊の花の形をしていたことがわかっています。
菊の花といえば、言わずとしれた、泣く子も黙る、天皇家の紋。日本国においては最高位の紋章がお菓子として出てきたときの、驚きと感動は見た人の心を大きく動かした事は間違いないと思います。
しかし、現代において、菊の花はじめ紋章を見てそこまで考える人は少なくなったのも事実。「この紋所が目に入らぬか!!」と印籠を出すだけで、なぜ皆がひれ伏すのかが、わからない若者も増えたいると思います。
そんな中で、現代人の心がワクワクするような形ってなんだろうと考えたときに、出会ったのが肉球でした。
この肉球の型にするための工程はとても時間がかかります。
クッキーやビスケットも厚みが1cmを超えると、焼いたとき型崩れしやすくなります。また、とても硬く焼き上がったりもします。
混ぜて焼くだけのちんすこうだと、すぐにこの問題にぶち当たるでしょう。
当工房では、まず、前処理工程というものがあり、商品によっては8時間かけて水分を抜く作業を行います。
これをしておかないと、出来上がりが固くなってしまいます。
次に記事を作る工程では、生地を4度寝かせ、小麦と砂糖とラードのバランスを整えます。
これをすることで、厚みのある生地でも膨張剤無しでもサクッとした食感を出すことができます。
また、きちんと生地ができていれば果汁やはちみつ、シロップなど水分をある程度含むものを適量入れても生地が固くなることもありません。
このような感じでつくると、さくら味やチョコミント味のようなPGシリーズの製品では、一粒つくるのに、4分程度の時間を要します。
1時間で15粒しか作れないので、どうしても高くなってしまいます。
夢はPGシリーズを粒単価80円にまで下げれる作業工程の発掘ですが、ハードルの高い目標となっているのが現実です。